司法試験過去問解説平成27年憲法短答式試験 第20問 【地方自治】

司法試験過去問解説平成27年憲法短答式試験 第19問 【地方自治】 準備中

 

 

第20問

〔第20問〕(配点:3) 地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№38]から[№40]) ア.憲法上の「地方公共団体」とは,沿革的に見ても,また現実の行政の上においても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等,地方自治の基本的権能を付与された地域団体であれば足り,共同体意識を持っているという社会的基盤が存在する必要はない。[№38] イ.憲法上の条例制定権は当然には罰則制定権を含まず,刑罰権設定は本来国家事務であり,条例中に罰則を設けるには法律の授権が必要であるが,条例は,行政府の命令と異なり,民主的立法であり実質的に法律に準ずるもので,条例への罰則の委任は一般的・包括的委任で足りる。[№39] ウ.地方公共団体は,地方自治の本旨に従い,その財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し,その遂行のためには,その財源を自ら調達する権能を有することが必要であるから,地方自治の不可欠の要素として,課税権の主体となることが憲法上予定されている。[№40] 問題の出典はこちらになります。 解答の出典はこちらになります。

アについて

最高裁判決昭和38年3月27日判決 【地方自治とは何か】

上記判決では「事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識をもつているという社会的基盤が存在し、沿革的にみても、また現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された地域団体であることを必要とする」としています。

よって解答は2となります。

イについて

sikaku.kenkou-jyouhou.net

上記にあるように、条例で罰則を定める際は「法律による受験が、相当程度に具体的で、限定されていればよい」とされています。

よって、解答は2となります。

ウについて

大牟田市電気税訴訟では、憲法92条から直接、地方公共団体の具体的な課税権を導くことはできないとしました。

ただし、憲法92条から抽象的な課税権を導くことができるのは明らかです。そのため解答は1となります。