司法試験H22公法系科目第20問【地方自治】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第20問を解説していきます。

司法試験H22公法系科目第19問

〔第20問〕(配点:2) 地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,aはある見解を要約したものであり,bはそれぞれの見解から導かれる結論である。bがaの結論となるものには○を,結論とならないものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№40]) ア.a.地方自治の保障は,いわゆる「制度的保障」を意味し,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」とは,国の法律をもってしても侵すことのできない地方自治制度の核心的部分の保障を意味する。 b.この見解によれば,制度の現状が保障されるので,都道府県を廃止して,道州を導入することは,憲法第92条に反する。 イ.a.「地方自治の本旨」とは,国の全域が法律で定める地方公共団体の区域に区分され,その各区域における公共事務が,多かれ少なかれ国から独立に,その地方公共団体の事務として,その住民の参与によって処理される体制を意味する。 b.この見解によれば,立法政策の当否は別として,市町村だけを地方公共団体としたり,都道府県を統廃合したりすることが,「地方自治の本旨」に反するわけではない。 ウ.a.憲法第92条及び第94条により,地方公共団体には自治権の一環として課税権が与えられている。地方公共団体の課税権に関する地方自治法第223条,地方税法第2条の規定は,それを確認している規定である。 b.この見解によれば,地方公共団体の課税権の税源をどこに求めるか,ある税目を国税とするか地方税とするかなどについての具体化は,法律に委ねられている。 (参照条文)地方自治法 第223条 普通地方公共団体は,法律の定めるところにより,地方税を賦課徴収することができる。 (参照条文)地方税法 第2条 地方団体は,この法律の定めるところによつて,地方税を賦課徴収することができる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

条文

憲法92条

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

憲法94条

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

アについて

都道府県を廃止して道州制を導入しても、それが地方自治が維持されていればよいという結論が導けると思うので、解答は✖となります。

イについて

市町村だけを地方公共団体としたり、都道府県を統廃合したりしても国からの独立を保ち、その事務として住民の参与によって処理される体制があれば「地方自治の本旨」に反するとは言えません。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

地方税を徴収できることは地方自治法・地方税法を根拠とするところですが、その税目などについては法律の範囲内で条例で定めるというふうに解されています(憲法92条)。

そのため、解答は✖となります。

以上、ア=ウ=✖・イ=◯なので解答は6となります。