司法書士試験H30午前の部第9問【相隣関係】

 

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士試験第9問を解説していきます。

司法書士試験H30午前の部第8問

第9問 相隣関係に関する次の 1 から 5 までの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものは,どれか。 1  他の土地に囲まれて公道に通じない土地(以下「袋地」という。)の所有権を取得した者が,公道に至るため,袋地を囲んでいる他の土地(以下「囲繞地」という。)の所有者に対して囲繞地を通行する権利(以下「囲繞地通行権」という。)を主張するためには,袋地について所有権の移転の登記をしている必要がある。 2  分割によって袋地が生じた場合には,袋地の所有者は,公道に至るため,他の分割者の所有地のみを通行することができるが,償金を支払わなければならない。 3  自動車による通行を前提とする囲繞地通行権は,成立しない。 4 土地の所有者は,隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは,その枝を自ら切り取ることができる。 5  土地の所有者は,隣地との境界の付近において建物を築造するため必要な範囲内で,その隣地の使用を請求することができる。 出典 問題『http://www.moj.go.jp/content/001266146.pdf』 解答『http://www.moj.go.jp/content/001266144.pdf

アについて

民法210条1項 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

判例:最高裁昭和47年4月14日

袋地の所有権を取得した者は、行動に至るためにその土地を囲んでいる他の土地を通行できます。その際に、所有権移転登記をしている必要はないので、解答は✖となります。

 

 

イについて

民法213条1項 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。

袋地の所有者は償金を払う必要はないため解答は✖となります。

ウについて

民法211条1項 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

判例:最高裁平成18年3月16日

自動車による通行を前提とする囲繞地通行権は様々な事情を考慮することで成立することもあるため、解答は✖となります。

エについて

民法233条1項 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

竹木の枝が境界線を越える時には、その所有者に切除させることができるのであり、自ら切り取ることはできません。

そのため、解答は✖となります。

オについて

民法209条1項 土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。

土地の所有者は必要な範囲内で隣地の使用を請求できるため解答は◯となりますが、承諾なく立ち入ることはできません。