司法書士試験H30午前の部第11問【地役権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法書士試験第11問を解説していきます。
第11問 地役権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。 ア 地役権者がその権利の一部を行使しないときは,その部分のみが時効によって消滅する。 イ 地役権を設定する際には,地役権者が承役地の所有者に対して支払うべき土地使用の対価の額を定めなければならない。 ウ 土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは,他の共有者も,これを取得する。 エ 要役地の所有権とともに地役権が移転した場合,要役地の所有権の移転の登記がされていても,地役権の移転の登記をしていなければ,地役権の移転を受けた者は,これを第三者に対抗することができない。 オ 地役権者は,承役地を不法占有する第三者に対し,地役権に基づく返還請求権を行使することができない。 1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ 出典 問題『http://www.moj.go.jp/content/001266146.pdf』 解答『http://www.moj.go.jp/content/001266144.pdf』
アについて
民法293条
地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。
民法293条に述べられる通りなので解答は◯となります。
イについて
民法280条より特段の定めがある場合もあるということから、必ずしも土地使用の対価の額を定める必要はありません。
そのため、解答は✖となります。
ウについて
民法284条1項
土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
民法284条1項で述べられる通りなので解答は◯となります。
エについて
民法280条1項
地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
地役権は要役地の所有権に従たるものであるため要役地の所有権移転登記がされていればよく、地役権の移転登記がなくとも第三者に対抗できます。
そのため、解答は✖となります。
オについて
民法280条
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
地役権者は他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有しているにとどまり、占有する権利を有していません。
そうすると、地役権に基づいて返還請求を行うことができないため、解答は◯となります。以上、イ=エ=✖なので解答は4となります。