司法試験民法短答式試験H27第13問【質権の即時取得】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H27民法第13問を解説していきます。

〔第13問〕(配点:2) Aが,A所有の甲動産を占有するBに対し,所有権に基づく甲動産の引渡請求訴訟を提起したところ,Bは,Aの夫Cから質権の設定を受けその質権を即時取得した旨の反論をした。この場合に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。(解答欄は,[№13]) 1.占有者が占有物について行使する権利は,適法に有するものと推定されるから,Bは,質権の即時取得の成立を基礎付ける事実を主張・立証する必要はない。 2.Bは,Cとの間で質権設定の合意をし,その合意に基づいてCから甲動産の引渡しを受けたことを主張・立証する必要がある。 3.Bは,質権の被担保債権の発生原因事実を主張・立証する必要はなく,Aが,質権の被担保債権の消滅原因事実を主張・立証する必要がある。 4.Bは,Cに甲動産の所有権がないことについてBが善意であることを主張・立証する必要はないが,Bに過失がないことを主張・立証する必要がある。 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

1について

民法188条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

188条では占有者が占有をする正当な権利を有すると規定しているにとどまり、即時取得の要件まですべてに及ぶということではありません。

そうすると、占有者は即時取得の要件を主張立証する必要が出てくるため、解答は✖となります。

2について

民法344条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

質権の設定は物を引き渡すことによって効力を生じる要物契約ですので、解答は◯となります。

3について

質権は担保物権であり、担保となるものがないと成立しないので、問題であれば質権の即時取得を主張するBに被担保債権の主張・立証責任があると言えます。

そのため、解答は✖となります。

4について

民法188条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

無過失は民法188条で推定されることになるので解答は✖となります。

 

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