司法試験民法短答式試験H27第6問【消滅時効の中断】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H27民法第6問を解説していきます。

司法試験民法短答式試験H27第5問

〔第6問〕(配点:2) 消滅時効の中断に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。(解答欄は,[№6]) 1.時効期間が経過する前に,被保佐人である債務者が保佐人の同意を得ることなくその債務を承認した場合,その債権の消滅時効は中断しない。 2.時効期間が経過する前に,債権者が第三者に債権を譲渡し,債務者がその債権の譲渡について債権の譲受人に対し承諾をした場合,その債権の消滅時効は中断する。 3.時効期間が経過する前に,債務者が債権者の代理人に対し支払猶予の申入れをした場合,その債権の消滅時効は中断する。 4.時効期間が経過する前に,債務者が債権者に対し債務の承認をした場合,被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を,その債権の物上保証人が否定することは許されない。 出典 問題『司法試験H27民法短答式問題』 解答『司法試験H27民法短答式解答

1について

民法156条 時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。

時効中断の承認については、その権利の処分につき行為能力・権限を必要としておらず、被保佐人であっても債務の承認を行えます。

そのため、解答は✖となります。

2について

債権譲渡を承諾することによって、その債権に対する債務があることを認めていると解されるので時効が中断すると考えられます。

そのため、解答は◯となります。

3について

支払い猶予の申し入れは「もう少し待ってもらえれば払えます」という解釈となり、債務の承認に該当します。

債務の承認は時効中断事由の一つですので、解答は◯となります。

4について

民法396条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

最高裁平成7年3月10日判決では「 物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない」とされています。

理由は「担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反するから」ということが挙げられています。

そのため、解答は◯となります。

 

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