司法試験H22公法系科目第6問【取材の自由】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第6問を解説していきます。

司法試験H22公法系科目第5問【教科書検定】

〔第6問〕(配点:2) 取材の自由に関連する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№14]) ア.民事訴訟法第197条第1項第3号は,「職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合」には,証人は証言を拒否することができるとしており,報道関係者の取材源の秘密は,この「職業の秘密」に当たる。しかし,当該事案において証言拒否が認められるか否かは,さらに比較衡量によって決せられる。 イ.一般人の筆記行為の自由は,報道機関の取材の自由と同様に,憲法第21条の精神に照らして十分尊重に値する。したがって,一般の傍聴者が法廷でメモを取る行為と司法記者クラブ所属の報道機関の記者が法廷でメモを取る行為とを区別することには,合理的理由を見出すことはできない。 ウ.報道機関の取材の手段・方法が,贈賄,脅迫,強要等の一般の刑罰法令には触れなくても,取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんする等法秩序全体の精神に照らして社会観念上是認することができない態様のものである場合には,国家公務員法との関係では,正当な取材行為の範囲を逸脱し違法性を帯びることになる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

アについて

【米健康食品会社脱税報道事件】

「職業の秘密」とは「その事項が公開されると,当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるもの」とされ、ここに取材源の秘密も含まれるとされています。

ただ、保護に値する秘密であるかどうかは秘密の公表による不利益と、迅速な裁判の実現との比較較量で判断すべきとしていますので、解答は◯となります。

イについて

【レペタ事件】

「報道の公共性、ひいては報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできない」としています。

ほの
公共性などの観点からメモをとることに措置を採ることについて判断しています。
また、メモをとることは表現行為の一つとして尊重されるべきであることを踏まえると、解答は×となります。

ウについて

最高裁昭和53年5月31日

取材行為は尊重されるべきですが、その中で制限が加えられることもあります。

また、その行為が刑罰法令に触れなくても、個人の人格を傷つけ社会観念上是認できるようなものではない場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱したものとして違法となるとしています。

そのため、解答は◯となります。

以上、ア=ウ=◯・イ=×なので解答は3となります。

 

司法試験H22公法系科目第7問