司法試験H22公法系科目第17問【内閣総理大臣の地位と権能】

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今日は、司法試験公法系科目H22第17問を解説していきます。

司法試験H22公法系科目第16問

  〔第17問〕(配点:3) 内閣総理大臣の地位と権能に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№33]から[№35]) ア.内閣総理大臣が欠けたときは,内閣は総辞職しなければならない。なぜなら,憲法は,内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えており,これが欠けた場合には内閣の一体性が失われることになるからである。[№33] イ.内閣総理大臣は,国務大臣の任免権を有するから,その意思に反しても一方的にこれを罷免することはできる。ただし,国務大臣を罷免する場合には,閣議において他の国務大臣の承認を求めなければならない。[№34] ウ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,内閣総理大臣は,行政各部に対する指揮監督権を有するので,各国務大臣が所管事項についてする行政指導に対し指示を与えることも内閣総理大臣の権限の範囲内というべきである。[№35] 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

アについて

憲法70条

内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
内閣総理大臣が欠けた場合にはそれに代わる者がおらず、内閣を統率することができないことが理由の一つとなるでしょう。
そのため、解答は1となります。
「内閣総理大臣が欠けたとき」には死亡した場合のほかに、国会議員としての資格を失った場合も含まれています。

イについて

憲法68条2項

内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
任意に罷免することが可能ですので、解答は2となります。

ウについて

【ロッキード事件丸紅ルート】

上記判例では「内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務にっいて一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当」とされています。

内閣総理大臣の地位・権限に基づいて一定の指導などが認められているので、解答は1となります。