司法試験H22公法系科目第5問【教科書検定】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第5問を解説していきます。

司法試験H22公法系科目第4問

〔第5問〕(配点:3) 教科書検定が憲法に違反するか否かに関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№11]から[№13]) ア.教科書検定が憲法第21条第2項に違反しないとされるのは,審査が,教科書の誤記や誤植などの客観的に明らかな誤りがあるか,教科書の内容が教育課程の大綱的基準の枠内にあるかなどの点に限定され,かつ,執筆者の思想の内容にわたらない場合に限られる。[№11] イ.教科書検定が教科書執筆者の表現行為を制限することになるとしても,教育の中立・公正,一定水準の確保等の要請にかんがみれば,検定による表現の自由の制約は合理的で必要やむを得ない限度のものであるから,憲法第21条第1項に違反しない。[№12] ウ.教科書検定は,検定で不合格とされた図書を一般図書として「思想の自由市場」に流通させることを何ら妨げるものではなく,発表禁止目的や発表前の審査等の特質がないから,憲法第21条第2項の「検閲」には当たらない。[№13] 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

【家永教科書裁判第一次訴訟上告審】

検閲の定義

【税関検査事件】

行政権が主体であるか

それが思想の統制に当たるかどうか

網羅的・一般的な禁止に当たるか

事前規制である

※事前規制とは、発表前の審査や禁止のことです。

アについて

イについて

①表現の自由は絶対無制限なのではなく、表現の自由による規制を受けることがある。 ②「普通教育においては、教育の中立・公正、一定水準の確保等の要請があり、これを実現するためには、これらの観点に照らして不適切と認められる図書の教科書としての発行、使用等を禁止する必要があること」

この2つの点を考慮するとすれば、「検定による自由の制限は合理的で必要やむを得ない」ということができるため、解答は1となります。

ウについて

教科書検定で不合格となったとしても、一般図書として流通させる機会が確保されているのであり、本件の検定は発表前の審査などがないことから検閲には当たらないとされています。

そのため、解答は1となります。

 

司法試験H22公法系科目第6問