司法試験H22公法系科目第4問【信教の自由】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第4問を解説していきます。

司法試験H22公法系科目第3問

〔第4問〕(配点:3) 信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№8]から[№10]) ア.信仰の表明としてされた特定の行為が他者の権利・利益に対する現実的・具体的害悪を及ぼす場合には,当該行為の基礎となった信仰自体の反社会性を理由に,国家権力が当該信仰を規制することは許される。[№8] イ.信教の自由は,同じ信仰を有する者が集まることによって宗教的団体を結成する自由をも内容として含むものであるが,このような自由は,宗教法人として法人格を取得することまでをも当然に含むものではない。[№9] ウ.自己の信仰と法令上の義務とが衝突していて,仮に法令上の義務を履行することが信仰の否定につながるような場合には,法令上の義務を履行せずに自己の信仰を優先する行動をとっても,法令上の規制や処罰を免れる。[№10] 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

アについて

【宗教法人オウム真理教解散命令事件】【加持祈祷事件】は、現実的・具体的害悪を及ぼすことになった判例になります。

ただ、この二つの判例では「行為」が問題とされているのであり、その「信仰」自体を規制しているわけではないので、解答は2となります。

イについて

信教の自由とは宗教を信じる・信じないことの自由であるが、これと宗教法人の法人格の取得とは別問題であり、その自由まで保障するものではないと解されます。

そのため、解答は1となります。

ウについて

極端な話、自己の信仰が「人を殺すこと」で法令上の義務は「人を殺さないこと」だとするならば、法令上の義務に反して自己の信仰を優先する行動をとった場合に、処罰されないのは不合理と言わざるを得ません。

そのため、解答は2となります。

 

司法試験H22公法系科目第5問