司法試験H22公法系科目第2問【刑事施設の被収容者の人権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第2問を解説していきます。

第1問【人権の享有体】

〔第2問〕(配点:2) 刑事施設の被収容者の人権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4]) ア.刑事施設及びその管理態勢に関する現状を前提とした場合,火災が発生する危険性,火災発生時に被収容者が逃走するおそれ,喫煙中の通謀により罪証隠滅がされるおそれなどを考慮すると,未決拘禁者について喫煙の自由を一般に認めないのはやむを得ない措置というべきである。 イ.未決拘禁者が刑事施設内で特定の新聞を私費により定期購読することを同施設の長が制限する場合,その態様の合憲性については,当該具体的な事情の下で,より制限的でない他の選び得る手段があるかどうかという基準によって判断されるべきである。 ウ.受刑者が国会議員あての請願書の内容を記した手紙を新聞社に送付しようとする場合,刑事施設の長がこれを制限し得るのは,具体的事情の下でそれを許可することが施設内の規律及び秩序の維持等の点において放置できない程度の障害が生ずる相当のがい然性があるときに限られる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア× イ○ ウ○ 5.ア○ イ× ウ× 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 出典 問題『司法試験H22公法系科目』 解答『司法試験H22公法系科目

アについて

最高裁昭和45年9月16日判決

判決では、喫煙を認めることによって監獄内の秩序維持などが難しくなるおそれがあるほか、喫煙を禁止することで人体に影響もないため、喫煙を制限することはやむを得ないとしています。

そのため、解答は◯となります。

イについて

【よど号ハイジャック記事抹消事件】

新聞紙等の閲覧を制限する場合、「右の制限が許されるためには、当該閲読を許すことにより右の規律及び秩序が害される一般的、抽象的なおそれがあるというだけでは足りず、被拘禁者の性向、行状、監獄内の管理、保安の状況、当該新聞紙、図書等の内容その他の具体的事情のもとにおいて、その閲読を許すことにより監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められることが必要」とされています。

制限が許される(制限の合憲性)の判断には代替手段については述べられていないため、解答は✖となります。

ウについて

最高裁平成18年3月23日判決

判決では「施設内の規律及び秩序の維持等の点において放置できない程度の障害が生ずる相当のがい然性があるとき」に許されるべきとされているため、解答は◯となります。

上記判例では、この点を考慮しなかったことで監獄法上違法・国家賠償法上違法とされています。

 

以上、ア=ウ=◯・イ=✖なので解答は3となります。

 

司法試験H22公法系科目第3問