憲法判例【ピアノ伴奏拒否事件】と思想良心の自由の関係

みなさん、こんにちは!

今日は、ピアノ伴奏命令拒否訴訟を解説します。

参考は最高裁判決になります。

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争点

ピアノ伴奏命令が「思想良心の自由」を侵害するかどうか。

判決

思想良心の自由に違反するか

思想良心の自由に違反するかどうか見ていく前に、本件教諭の考えを簡単に紹介します。

教諭の思想

「君が代」や「日の丸」が「戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たした」という印象を伴奏を拒否した教諭は有していました。

君が代や日の丸は戦争と大きく関りがある、そういうことを当該教諭は思っていたわけです。これが伴奏拒否ともつながります。

もし教諭が、戦時中に日本と敵対関係にあった国の人だとしたらどうでしょうか。もしそうなら、伴奏を拒否することを想像するのは容易ですよね。

 

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ピアノ伴奏について

「ニ 入学式の国家斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を拒否するという行為自体は、当該教諭自身が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価ができない」

つまり、ピアノ伴奏をするだけでは思想の表明にはならない、ということ。

例えばですが、みなさんは卒業式などでピアノ伴奏をする教諭をみて「あの先生は、~な思想をもっているのか!」と思うことはあるでしょうか?

きっとそんなことはないですよね。

国家斉唱だからピアノを伴奏している先生というイメージをもつだけでしょう。「音楽専科の教諭」として当然に期待されることですからね。

命令について

「三 当該教諭は、公立小学校の教諭として、法令や命令に従わなければならない立場にあり、校長から同校の学校行事である入学式に関して本件職務命令を受けたものであり、本件職務命令は法令に基づいて適正に発せられたものである」

もし、教諭がピアノ伴奏命令に従わなかったら式はどうなるでしょうか。

この件の場合、ピアノ伴奏を拒否したら円滑に式を進められなくなるおそれがあります。また、会場全体を悪い雰囲気にするかもしれません。

こうした公共の利益のためにも教諭を含めて公務員は、命令に従わなければならない立場にあります。

そのため、本件のピアノ伴奏命令は違法性を持たないということです。

確認問題 〇か×

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①市立小学校の入学式における国会斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をする行為は、音楽専科の教諭にとって通常想定され期待されるものであり、当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難なものである。(司法試験 H29 【第4問】 イ)

②市立小学校で伴奏を拒否する行為は、教諭として許されない行為であるが、教諭が特定の思想を理由とした伴奏拒否は、当該教諭の思想を守るために認めなければならない。

解答  ①〇 ②×

 

類似する判例はこちらになります。

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