司法試験過去問解説平成29年民法短答式試験第26問

みなさん、こんにちは!

今日は【不動産の売買契約に関する問題】を解説していきます。

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〔第26問〕(配点:2)
不動産の売買契約に基づき売主が買主に対して代金の支払を訴訟で請求する場合に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。(解答欄は,[№26])

1.売主は,請求原因において,売買契約締結当時,その目的物が売主の所有であったことを主張する必要がある。
2.買主が抗弁として同時履行の抗弁を主張した場合には,売主は,代金の支払を目的物の引渡し及び所有権移転登記手続よりも先に履行する旨の合意があったことを再抗弁として主張することができる。
3.売買契約の目的不動産について隠れた瑕疵があり,買主が損害賠償請求権を有する場合には,売主の代金請求権と買主の損害賠償請求権は同時履行の関係にある。
4.売主が目的物の引渡しについて履行の提供をした場合でも,その提供が継続されていないときは,買主は同時履行の抗弁権を失わない。
5.売買契約の目的不動産について抵当権の登記があるときは,買主は,抵当権消滅請求の手続が終わるまで,代金の支払を拒むことができる。

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

イについて

同時履行の抗弁が主張された場合には、先に履行する旨の合意があったことを「再起履行の合意の再抗弁」として主張することができます。よって、解答は◯となります。

参考:http://www.geocities.jp/sl042015/baibai5.html

ウについて

民法571条で563条から566条まで民法533条の同時履行の規定が準用されるとしており、570条では売買の目的物に隠れた瑕疵があれば、566条の損害賠償請求権に関する規定が準用されます。

以上より、売買契約に基づく売主の代金請求権と隠れた瑕疵に基づく買主の損害賠償請求権は同時履行の関係にあるということができるので、解答は◯となります。

エについて

最高裁昭和34年5月14日判決では、「双務契約の当事者の一方は、相手方の履行の提供があつても、その提供が継続されないかぎり、同時履行の抗弁権を失うものではない」とされています。

そのため、解答は◯となります。

オについて

買い受けた不動産に抵当権登記がある場合には、買主は、抵当権消滅請求の手続きが終わるまでは、その代金の支払いを拒むことができます(民法577条)。そのため、解答は◯となります。

 

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