憲法判例【農業災害補償法事件】と憲法22条職業選択の自由
みなさん、こんにちは!
今日は、農業災害補償法事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
当然加入制を定めた農業災害補償法が、憲法22条の職業選択の自由に反するか
農業災害補償法
「農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補てんして農業経営の安定を図り農業生産力の発展に資することを目的として農業共済組合等の行う共済事業、農業組合連合会の行う保険事業及び政府の行う再保険事業からなる農業祭が保障を行うものとしている」
上記は後にみていきます。
次に、農業災害補償法で規定された当然加入制をみていきましょう。
当然加入制
農業災害組合の区域内に住所を有する水稲等の耕作を営む者でその耕作面積が一定規模以上の者は、農業共済組合の組合員の資格を有し、やむをえない事由がない限り離脱することは認められない
そして、組合員は組合のために事務費などを負担しており農業共済組合は様々な事由により生じた損害について「組合員に対して農作物共済の共済金を交付する」
↓
両者の共済関係が成立していました。
上記を踏まえ判決を見ていきましょう。
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判決
まず、法が当然加入制を採用した趣旨は「国民の主食である米の生産を確保し水稲等の耕作をする自作農の経営を保護」することにありました。
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被災可能性のある農家を多く加入させ危険分散を図り、危険の高い農家だけが加入するのを防ぐ農家の相互扶助を目的
法が制定された昭和22年
食糧事情のひっ迫・自作農の創設で農業経営の安定が要請されていた時代
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当然加入制は職業の遂行それ自体の禁止ではない
また、組合員が支払う共済掛金は政府も国庫を負担するため均衡を欠かない制度です。
このことから、米作農家の当然加入制は
「米の安定供給と米作農家の経営の保護という重要な公共の利益に資するものであって、その必要性と合理性を有していたということができる」
↓
米を安定して供給し国民の生活を保護する観点からして合理的な規制であったため共済掛金の負担も合理的である
こうしたことから当然加入制は「公共の福祉に合致する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができ、立法府の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので著しく不合理であることが明白であるとは認め難い」としました。
農業災害補償法の当然加入制は公共の福祉・利益の目的のために必要な措置であり、憲法22条1項の職業選択の自由に反しない判例です。
職業選択の自由についてはこちらもご覧ください。
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