憲法判例【富山大学単位不認定事件】と一般市民法秩序
みなさん、こんにちは!
今日は、富山大学単位不認定事件を解説します。
判決全文はこちらから。
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争点
授業停止中の教授の授業を受けた学生に対し教授は成績を提出した
しかし、学部長は単位不認定としたため、単位認定を行わないことは違法かが争点です。
判決
大学について
「一般市民社会とは異なる特殊な部分社会である大学における法律上の係争のすべてが当然に裁判所の司法審査の対象となるものではない」
↓
大学は一般市民の社会とは異なり、大学の自治的観点から裁判所が介入しないこともある。
単位認定行為について
「一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを是認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであ」る
↓
一般市民法秩序と関係がなければ、大学の内部の事として処理すべき
※一般市民法秩序とは学生を一般市民としてとらえるということ
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また、「現行法上又は社会生活上」単位を認定することが一種の資格要件となる場合があるから司法審査の対象となりうるという主張がありました。
これについて、特定の授業科目の単位の取得それ自体が一般市民法上一種の資格要件とされる場合もあり、単位認定行為が一般市民法秩序と関係を有することは否定できないが、極めて限られたものだけ。
そのため、一部にそのような関係があるからといって、すべての授業の単位取得が一般市民法上の資格地位と関係を持ち、単位認定が一般市民法秩序と関係を持つということはできないとしました。
こうして、一般市民法秩序に照らし学生を一般市民ととらえて、害される権利がないか検討しても、単位を認定しない行為で一般市民として害される権利はない。
裁判所が介入しない大学内部の問題で、単位認定不許可処分は違法ではない判例でした。
この一般市民法秩序は、富山大学専攻科終了不認定事件でも使われるので覚えておきましょう。
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