民法講座~制限行為能力者と未成年者の法律行為について

みなさん、こんにちは!

今日は、制限行為能力者とその行為の有効性について解説していきます。

 

 

 

制限行為能力者

制限行為能力者は、以下の4つに分けられます。

①未成年者 ②成年後見人 ③被保佐人 ④被補助人

未成年者:20歳未満の者

 

成年後見人:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者

民法~成年被後見人の行為の有効性

 

被保佐人:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者

被補助人:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者

民法~制限行為能力者の被保佐人と被補助人の有効に成立する行為

 

内約はこのようになります。

ここからは、未成年者が行った行為の有効性について見ていきましょう。

 

 

①未成年者

未成年者は、後見人、つまり親権者(未成年後見人の場合もある)の同意がないと有効な行為を行うことができません。そのため、親権者の同意なしに物の売買などの行為を行った場合には、後見人に取消権が認められています。

取消しがされた際、その契約はなくなるので、金銭・物の返還義務が生じます。ただ、行為能力者は、「現に利益を受けている程度」で金銭を返還するとされています(121条ただし書き)。

そのため、生活費は返還し、遊興費は返還しなくてよいとされます。また、未成年者の行為に利益があれば、後見人にはそれを有効な法律行為として追認する追認権が与えられています。

未成年者が有効な法律行為を行うためには、後見人の同意を得る必要があるため同意を得れば有効に法律行為を行えます。ただ、以下は、同意を得なくても有効に法律行為が成立する場合があります。

①単に権利を得、義務を逃れる行為(5条1項ただし書き)

例)お小遣いなどの贈与を受けること

②処分を許された財産の処分(5条3項)

例)お小遣いの処分など

③営業を許可された行為(6条1項)

例)オークションなどへの出品

営業とは無関係の行為は取消の対象となる

このほかに、婚姻した未成年は成年と同様に扱わ行った行為は有効に成立したものとみなされます。これを成年擬制(民法753条)といいます。

まとめ

後見人には取消権・追認権・同意権が認められ、未成年者は同意権を得れば有効に法律行為ができる場合と、同意をなしで有効に法律行為ができる場合がある。また、婚姻後の未成年の行為は有効に成立する。

確認テスト 〇 or ×

司法試験民法過去問解説~平成29年大問1

①A(未成年者)が営業の許可を得て同意を得ずに売買契約をし、売買契約が営業に関しないものであっても、Aはそれを取り消すことができない。(司法試験 H29 【1】ア)

②Aの親権者がAのアルバイトで得た金銭を自由に処分してよいとした後、Aが売買契約を締結し、そのときに親権者の同意を得ていたなかったときでも、Aはその売買契約を取り消すことができない(司法試験 H29 【1】イ)

答え ①× ②〇